それが本因坊流、金田流、当世紳士流さ。 ヴァイオリンは大き過ぎるから抱いて寝る訳には行かないんですが……と云いかけると それだからいやしくも人類の地球の表面に存在する限りは夫婦と芸術は決して滅する事はなかろうと思います 君の国の書生と来たら、本当に話せないね。 昔しなら文句はないさ、異体同心とか云って、目には夫婦二人に見えるが、内実は一人前なんだからね。 　今度は主人の番である。 そいつはおめでたい話だ。 ダンビラを畳の上へ刺して無理に人の金銭を着服するのが強盗で、おどし文句をいやに並べて人の意志を強うるのが探偵だ。 ちょっと待った 私だってヴァイオリンは欲しいに相違ないですけれども、命はこれでも惜しいですからね。 そこで僕がなに代は構いませんから、お気に入ったら持っていらっしゃいと云う。 ついで、くりゃるな八幡鐘をと、こうやったら、どうするかね ちょうど十一月の天長節の前の晩でした。 先生はどうも性急だから、話がしにくくって困ります